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第25回牧場雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社前川農場、更新担当の中西です。

 

牧場の朝に漂う白い息

 

11月、朝霜がうっすらと牧草地を覆い、牛たちの鼻先から白い息が立ちのぼる季節になりました。
一年を通して最も気温差の大きい時期。
この「寒暖差」との付き合い方が、牧場経営にとって非常に重要になります。

今回は、11月における牛たちの体調管理と飼料調整のポイントについて、現場の視点から深く掘り下げます。


🌅1. 秋から冬への変わり目、牛の身体に起こる変化

11月は昼夜の気温差が10℃以上になる日もあり、特に朝晩の冷え込みが強まります。
この時期、牛の体は「被毛を厚くし」「体温調整を活発に行う」準備段階に入ります。

ただし、気温の変化に追いつけない若齢牛や分娩直後の母牛は、免疫力が低下しやすくなります。
特に注意すべき症状は次の通りです👇

  • 咳や鼻水などの呼吸器症状(寒暖差ストレス)

  • 食欲低下・反芻回数減少(代謝バランスの乱れ)

  • 被毛のごわつき・ツヤ低下(栄養不足サイン)

これらを見逃さないためには、「朝・夕の観察」が欠かせません。
牛の行動や表情、糞の状態など、小さな変化に気づくことが健康管理の第一歩です。👀


🌾2. 11月の飼料設計とエネルギーバランス

寒さが増すにつれて、牛のエネルギー消費は自然と増加します。
つまり、同じ量の飼料を与えても、体温維持に使われてしまい太りにくくなるのです。

そこでこの時期は、次のような飼料調整がポイントになります👇

飼料 調整方法 効果
乾草(チモシー、オーチャード) 量をやや増やす 体内発熱・反芻促進
濃厚飼料(とうもろこし・ふすま等) エネルギー密度を上げる 体重減少防止
ビタミンA・E サプリ追加 皮膚・免疫強化
ミネラルブロック 舎内に常備 微量元素補給

また、水分摂取も軽視できません。
寒いと水を飲まなくなる牛もいますが、水分不足は飼料の消化不良を招きます。
給水器の凍結を防ぎ、常温水(10〜15℃程度)を確保しましょう。💧


🐂3. 舎内環境と風対策

11月は風が強く、日中と夜間で湿度が変わりやすい。
そのため「通気性と保温性のバランス」が重要です。

  • シャッターや風除けシートを活用し、北風を防ぐ

  • ただし締め切りすぎず、空気循環を維持

  • 敷料(オガ粉・ワラ)を厚めに敷き、床冷え防止

とくに子牛舎では、風が直接当たらない場所を確保し、乾燥しすぎないよう湿度管理を行うことが大切です。


💡4. 冬毛期のボディチェック

この時期は被毛が厚くなり、体格の変化が見えにくくなります。
そのため、**触診とスコア評価(BCS:ボディコンディションスコア)**を定期的に行いましょう。

  • 肋骨の浮き具合

  • 腰骨・尾根の出方

  • 背中のライン

これらを3段階評価(痩せ・適正・肥満)で管理し、給餌量を微調整します。


🧭5. まとめ

11月は牛にとって「冬を迎える準備月」。
気温の変化に合わせて、環境・飼料・観察のすべてを見直すことが、健康な肥育と肉質の向上につながります。
朝霜を踏みながら牛舎の扉を開くと、温かな吐息と穏やかな眼差しが迎えてくれる——
そんな牧場の日常を守るための努力が、この季節にも息づいています。

 


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